電気回路において100%必要なのが「配線」ですよね。
電源と抵抗を置しても、電線でつながなければ回路になりませんから。

じつは、この回路に必要な「電線」にも抵抗があるのです。

どんなに電気を通しやすい素材でも、配線の抵抗値をゼロにはできないからです。

このように配線に生じる抵抗のことを「配線抵抗」と呼んでいますよ。

この「配線抵抗」の影響で、
回路の負荷にかかる電圧は、電源電圧よりも小さくなるのです。
そして、
抵抗の影響で負荷にかかる電圧が小さくなること
を「電圧降下」と呼んでいます。
ドローン検定では「配線抵抗による電圧降下」を計算する問題が出てくるのですよ。
例えば次のような問題ですね。
配線抵抗による電圧降下の求め方
次の2ステップでとけますよ。
配線抵抗を1つの抵抗として考える
カギとなるのが配線抵抗を1つの抵抗として捉える考え方です。
一見、抵抗がない回路に見えても、配線に抵抗があるので、回路の途中に配線分の抵抗があると考えましょう。

例えば、例題だったら、配線抵抗は0.02 [Ω]。
回路の途中に0.02 [Ω]の抵抗が挟まっていると考えるのです。
オームの法則で電圧を計算
さて、配線抵抗を回路図に書き込みましたね?

次は「オームの法則」で配線抵抗にかかる電圧を計算します。
オームの法則で電圧を求めるためには
- 電流
- 抵抗値
が必要ですよね
したがって、配線抵抗に流れる「電流の大きさ」と「配線抵抗の大きさ」がわかれば電圧を計算できるのです。
例題をみると、
- 配線に流れる電流:10 [A]
- 配線抵抗の大きさ:0.02 [Ω]
だったので、配線抵抗の電圧降下を計算すると、
$$電圧降下 = 電流 × 配線抵抗$$$$= 10 × 0.02$$
$$= 0.2 [V]$$
と出てきます。
つまり、配線に生じる電圧降下は 0.2 [V] になるんですね。
配線抵抗の応用問題の解き方
最後に2つの応用問題にチャレンジしましょう。
消費電力を計算
電圧降下ではなく、配線抵抗の消費電力を計算する問題も出題されます。
例えば次のような問題。
まず知っておきたいは電力の計算方法です。
電力は
電圧 × 電流
で計算できます。
そして、消費電力を求める時は、電力に「電流が流れた時間」をかければいいので、
消費電力 = 電圧 × 電流 × 電流が流れた時間
になりますね。
さて、例題をみましょう。
さっき解いた例題と同じ条件なので、
- 電圧:0.2 [V]
- 電流:10 [A]
が使えます。
そして、電流が流れる時間は「5秒間」。
これらの値をもとに消費電力を計算すると、
$$消費電力$$$$= 電圧 × 電流 × 電流が流れた時間$$
$$= 0.2 × 10 × 5$$
$$= 10 [W・s]$$
が正解ですね。
他の負荷にかかる電圧を計算する
今度は電線の抵抗ではなく、それ以外に抵抗が設置されている回路で、負荷にかかる電圧を求める問題です。
ただし、バッテリーから出力される電圧は変わらないものとし、配線と負荷以外に電圧降下は生じないものとする

この場合、電源電圧から配線の電圧降下を引けば、その他の負荷にかかる電圧を計算できます。
なぜなら、配線抵抗を考えた場合、他の負荷と直列つなぎになっていますからね。
直列回路の場合、
電源電圧は個別の抵抗にかかる電圧の総和に等しい
という法則がありましたよね?
そう考えると、
電源電圧から配線抵抗による電圧降下を引けば、他の負荷にかかるで電圧を計算できるのです。
よって、
$$電源電圧 – 配線抵抗による電圧降下$$$$= 20 – 0.2$$
$$= 19.8 [V]$$
が正解です。
このように応用問題になっても、配線抵抗の考え方は変わりません。
ぜひチャレンジしてみてください。
ドローン検定対策をしたい方は『ドローン検定計算ドリル』もあわせてどうぞ。
それでは!
Ken
【参考書籍】

1990年生まれ埼玉育ち。
第4級アマチュア無線技士、ドローン検定1級。