ドローン検定2級では、気温減率の計算問題が出てきます。
例えば次のような問題ですね。
つまり高度によって変化する気温を求める問題。
解く前に次の3つを押さえておくといいですよ。
標準大気とは何か?
まずは「標準大気」という言葉を押さえましょう。
地球を覆っている空気すなわち「大気」は色々な要因で変化します。
例えば、気温、気圧、密度など、色々な要因で、色々な大気ができるのですね。
そのため、高度による大気の気温計算は一筋縄ではいきません。
なんせ、みんな違って個性のある大気ですから。
そこで「標準大気」という一種のモデルを作ったのです。
「標準大気」は自然界の神様が定めたものでなく、ISO・ICAOといった「人間の団体」が定めたモデルですね。
まず「標準大気」は乾燥大気で、水分を含みません。
そして、理想気体(または完全ガス)と呼ばれるもので、どのような条件でもボイルシャルルの法則が適応される大気です。
気体の圧力は体積に反比例し、絶対温度に比例する
という法則を適用できる気体なのですね。
そして、この標準大気は高度 0 mにおいて、
気温15度、気圧は1013.25hPa(760mmHG、29.92InchHG)
です。
気温減率の計算方法
さて、ここでようやく気温減率の話です。
ズバリ、地表面に近い「対流圏」と呼ばれる大気圏では、
標準大気は1000 m 上がるごとに「6.5 度」気温が下がります。
1000 m の10分の 1 に値する「100 m 」上昇すれば、0.65度気温が下がり、その2倍の「200 m」ならば1.3度気温が下がるわけ。
このように高度が上がるほど大気の気温は下がると覚えておきましょう。
気温減率の計算問題
それじゃあ気温減率の計算を実際にトライしてみましょう。
冒頭で紹介した問題を振り返ってみます。
気温減率の計算は次の公式を使いましょう。
$$(元の気温)× −6.5 × \frac{高度[m]}{1000}$$
この問題でいうと、スタート地点は高度0mの標準大気なので、「元の気温」は15度。

標準大気は1000 m 上がるごとに、6.5度気温が下がるわけですね。
この問題では高度「2000 m」 なので、「高度」に2000 m を代入すると、
$$(元の気温)× −6.5 × \frac{高度[m]}{1000}$$
$$=15 × −6.5 × \frac{2000}{1000}$$
$$=15 × −6.5 × 2$$
$$=2$$
つまり、この大気の気温は2度です。
やりましたね。
高度11km(11000 m)以上の気温減率に注意!
標準大気は1km上昇するごとに6.5度下がるとわかりました。
これなら
$$(元の気温)× −6.5 × \frac{高度[m]}{1000}$$
で問題を解けそうです。
がしかし、です。
ところがどっこい。
高度 11000m(11km)以上の計算には注意が必要です。
これより上の高度になると、
気温減率が0になります。
そして、それ以上の気温は
-56.5度
で一定になるのです。
例えば、次のような計算問題があったとしましょう。
高度16000 m は16 kmですね。
高度11kmをはるかに超えているので、気温減率は0となり、その地点の気温は
-56.5度
で一定になるはず。
「-56.5」はどっから出てきたかというと、高度11kmで気温減率を計算した値です。
$$(元の気温)× −6.5 × \frac{高度[m]}{1000}$$
$$=15 × −6.5 × \frac{11000}{1000}$$
$$=15 × −6.5 × 11$$
$$= -56.5$$
高度11kmまでは「気温減率=1kmごとに-6.5度」ですが、それよりも高度が高い場合は要注意。
気温減率はゼロになると肝に銘じておきましょう。
他の計算問題にもチャレンジしたい方は『ドローン検定計算ドリル』もあわせて参考にどうぞ。
それでは!
Ken
【参考書籍】

1990年生まれ埼玉育ち。
第4級アマチュア無線技士、ドローン検定1級。