FPV ドローンを操作するためにアマチュア無線技士の4級の試験を受けて無事に合格できました。
「さあ、これでFPVドローン操作したるわ・・・・!」
と言いたいところですがそうは問屋がおろしません。
アマチュア無線技士の免許だけではFPVドローンを操作できないのです。
免許を用いてまだやるべきことがあり、それは、
無線局を開局する
ということ。
「車の免許」がアマチュア無線の資格だとしたら、無線局の開局は「車検」にあたります。
>>詳しくは「なぜFPVドローンにアマチュア無線4級が必要のなのか?」へ
FPVマイクロドローンに必要な無線局開局の申請方法
先日、どうにかこうにか無線局開局の成功しましたので、申請方法をまとめておきますね。
1. 電子申請システムの ID とパスワードを取得する
アマチュア無線技士4級の資格をゲットしてまずやるべきことは、
電子申請システムの ID とパスワードを入手する
ということです。
ID とパスワードの発行には一週間ほどかかると言われているので、早めにやっておくことに越したことはありません。
まずはこちらのページに飛んで、「新規ユーザー登録」から登録をしてみましょう。

登録の際には
アマチュア無線技士の免許をご用意ください。
免許証の番号を記入することになりますからね。

準備ができたら規約に同意して、

個人情報を入力すると登録完了になりますね。

無線従事者免許証の番号
という欄にアマチュア無線技士の免許証の番号を記入していくことになりますよ。

2. ハガキを待つ
あとはハガキが自宅に来るのを待つだけ。

わたしの場合、登録完了から3日後にこのようなハガキが自宅に届きました。

ハガキの中身を見てみると、
- 問い合わせ番号
- ユーザー ID
- 初期パスワード
という3つの情報が記載されています。
こちらの情報をもとにシステムに登録していくことになりますよ。
3. 初期パスワード設定
またまた先ほどの電子申請Liteのページに飛びます。
今度は右側のログインを選択。

すると、次のようなIDとパスワードを入力するログイン画面が表示されるでしょう。

ここにハガキで届いた、
- ユーザー ID
- 初期パスワード
を入力してログインします。
あくまでも初期パスワードは仮のパスワード。
ここからは自分で決めたパスワードに変更して使っていくことになりますよ。

新しいパスワードを設定したらひとまずひと段落。
4. 申請書作成
さて、先ほど作成したIDとパスワードを活用し、いよいよ無線局の開局の申請書を作成していきます。
Liteのトップ画面から「申請届出」をクリックし、て必要事項を記入していきます。

その際、お手元に
- アマチュア無線免許
- ドローンの送信系統図
をご用意ください。
ここでは個人情報の記入したり、無線免許の番号を入力したりするんですが、初心者でもギリ大丈夫。
こちらの総務省公式ページにオンライン申請の手順が載っていますので参照すればどうにかなります。一般人のわたしが出る幕はありません。
ただし、です。
「マイクロドローンの開局申請」という観点においては、次の2つの記入項目に注意が必要です。
- 13 電波の型式並びに希望する周波数及び空中線電力
- 16 工事計画書
まずは1つ目が13番目の「電波の型式並びに希望する周波数及び空中線電力」。
日本アマチュア振興協会のすすめにより、
- 希望する周波数帯 5600M
- 電波の型式 4SA
- 空中線電力 1W
と記入すればいいでしょう。

そして16の「工事設計書」も注意が必要です。編集と進み、

- 発射可能な電波の型式及び周波数の範囲
- 変調方式
- 終段管
- 定格出力
を記入していくんですが、これらの情報はご自身が用意した「送信機の系統図」に書かれております。
わたしの送信系統図にはここに書かれておりまして、

以下のように記入しました。
第1装置 F8W 5600MHz 上記以外の変調方式 RTC6705 1個 3.3V 25mW
それから、ご自身で保有している送信系統図の画像もここの「添付書類」でアップロードしておきましょう。
5. JARDに補償してもらう
さて。
ここまでが申請書に情報を記入するフェーズでございますが、気が急いてはいけません。
このまま総務省に提出してはいけないのです。
なぜかというと、その前に、
無線局を第3者に保証してもらう必要があるんです。
こいつの無線局大丈夫か?ってことを総務省と申請者以外の機関によるジャッジメントを仰ぐわけです。
そこで出てくるのがJARD(通称:日本アマチュア無線協会)です。
こちらの組織に自分の無線局を保証してもらわないと、いくら正確な申請書を作成して総務省に提出したとしても受理されません。
よって、先ほど作成した申請書のファイルを総務省に提出せず、一旦保存しましょう。
zipファイルで保存し、そのzipファイルをJARDに送って保証してもらうのです。
こちらのページから保存したzipファイルの申請書をアップロードし、審査にかけてもらいます。
ただし、無料で保証してもらえるほど世の中は甘くありません。
きっかり手数料4200円かかりますのでご注意ください。
この手数料はzipアップロード後に送られてくるメールに記載されている銀行口座に振り込みます。
ただし、やはりここでも世間は厳しいらしく、手数料はこちら持ち。
なるべく手数料が安くなる方法をオススメします。
振込先の銀行口座は複数用意されておりまして
- 三菱UFJ銀行
- ゆうちょ銀行
がございます。
ご自身の利用環境に応じ、手数料を最小限にできる方法を選んでみてください。
ちなみに、この手数料はzipアップロードから1週間以内に支払わねばなりません。
6. 保証書の受理
さて、JARDに金を振り込んで保証の審査が始まりましたら、あとは待つだけ。
やがて、審査が終わります。
わたしのケースでは審査に1週間弱かかりました。
5月29日に振り込み手数料を支払って、審査が終了したのが6月3日でしたからね。冷静に1週間もかかっていません。
JARDからのメールにはPDFの保証書と申請書が入ったzipが添付されてきます。
7. 申請書を提出する
今度はJARDから送り返されてきたzipファイルを総務省に提出します。
途中作業ファイルとして総務省のLiteにアップロードしましょう。
Liteにログインし、トップメニューから「」へ進み、途中のファイルを申請からアップロードしていきましょう。
わたしはこの再アップロード作業を6月6日に終えました。
7. 審査を待つ
はーい、これでバトンは総務省に渡ったわけですが、ここからの経過時間が異様に長かったです。
わたしの場合、提出から約1ヶ月後の7月6日に総務省からメールが届きました。
しかし、一発で申請書が通らず、修正依頼が来てしまったのです。
修正依頼が来た場合には総務省Liteにログインし、通知の欄から変更点を確認し、内容を修正して再提出。
わたしの場合、「アマチュア無線免許の住所と登録住所が異なる」ために送り返されてきました。
この依頼に迅速に対応し、依頼が来てから1日後の7月7日に作業完了しました。
8. 申請料を支払う
さて、無事に修正が認められて申請書が受理されると、いよいよ手数料の支払い。
総務省による無線局の審査には「2900円」という手数料がかかります。
こちら手数料をいかなる手を用いても構いませんので総務省に引き渡さねばなりません。
支払い方法は審査完了のメールに明記されています。
わたしはペイジーのオンライン支払いを選択。
メールのリンクから辿っていくと、オンラインバンクで支払えるよう手配されておりました。
オンラインバンキング未対応の方でも大丈夫。ペイジー払いには3つの番号()さえわかれば、リアルの銀行店舗でも支払えますよ。
9. 免許を受け取る
手数料支払いが完了したら、ようやく申請自体に終わりが見えてきます。
わたしの場合、手数料の振込みから2週間後の8月4日に、総務省から申請完了のメールが届きました。
はて、これで終了か、と思いきや、まだまだ先がありました。
免許を受け取らねばなりません。
受け取り方法は「窓口」と「返信用封筒」の2通りがあり、これは申請書作成のフェーズでご自身で指定したはず。
「返信用封筒」を選択した方は封筒を自ら用意し、切手もはり、それを総務省に送らなければなりません。
つまりは、返信用の封筒を入れた封筒を総務省に送り、その中身の返信封筒に免許を入れてもらって返信してもらうのです。
もちろん、送料はすべてこちら持ちなので、封筒と返信封筒に切手が2枚必要です。
冷静に84円切手が2枚必要ですので168円の手数料がかかります。
総務省からメールを受け取り直後8月4日に返信封筒を送ってみたんですが、実際に免許を届いたのはその1週間後の8月12日。

返信封筒の中には、紙切れのような免許が入っておりました。

わたしは無線局の免許証は何か「カードのような物体」を想像していたので、少し拍子ぬけてしましたね。
10. 電波利用料の納付
免許証を受け取ってひと段落、かと思って羽を伸ばしていたんですが、実はまだまだ無線局開局物語は終焉していませんでした。
なんと、無線局を開局したら「電波利用料」という税金のような手数料を支払わねばなりません。
この手数料はどうやら無線局を開局している限り1年に1度支払わねばならぬようです。
注目の手数料はというと、アマチュア無線局の場合なら1年300円。
この手数料の納付書が免許証を受け取ってから約1週間後8月16日に届きました。
この納付書はコンビニや銀行店舗でも支払えますが、ペイジーに対応していますので、オンラインバンキングでも支払えます。
この電波利用料は税金のようなものなので、舐めない方が良いです。
納付期限を過ぎてしまうと「延滞税」がのしかかってきます。
この小額の手数料は渋らずに早めの納付をおすすめしますよ。
FPVマイクロドローン向けの無線局開局は大変だった?
はい、以上が無線局開局の流れと、手数料の支払いまでの全行程でした。
完了までの期間は長い
想定通りでしたが、申し込み開始から無線局開局の終了まで長期間かかりました。
今回判明したのは、
およそ3ヶ月の期間
がかかるということ。
わたしの場合、アマチュア無線の免許を取得したのが3年ほど前でして、その際に無線局のLiteのIDとパスワードは取得していました。
そのため、通常より少しだけ短くなって2ヶ月で済みましたが、最初からゼロベースで申請していたら、IDとパスワードの取得も含めて3ヶ月はかかっていたでしょうね。
マイクロドローンをFPV操作したい方は早めに動き出すことをおすすめします。
費用もそれなりに
申請費用もそれなりにかかりました。
改めて振り返ってみましょう。
- JARDへの保証料:4100円
- 総務省への手数料:2900円
- 免許証を送ってもらうための切手:168円(プラス封筒代)
- 電波利用料:毎年300円
したがって、無線局を開局しただけで7,168円かかり、電波利用料コミコミだと7,468円。
いやー、ほんと大変でした。
しかも、最後の「電波手数料」は無線局を開局しているだけで毎年かかる税金のような代物ですから気が重くなります。
はい、というわけで、期間と費用もそれなりにかかります。
マイクロドローンをFPV操作するための道のりはそれほど簡単なのではありません。
しかし、無線局さえ開局してしまえば、あとは毎年の電波利用料さえ支払っていればいいのです。
この最初のハードルを越えてしまえば、その先には希望に溢れたマイクロドローンFPV生活が待っている、かもしれません。
時間とお金がかかりますので、ご希望者はお早めに動き出すことをオススメします。
それでは!
Ken
【参考記事】

1990年生まれ埼玉育ち。
第4級アマチュア無線技士、ドローン検定1級。